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オーストラリアの人はスポーツを日常に楽しんでいる!そのコンディショニング法がヨガだった

―シドニーではどんなヨガを指導していますか?

クラスにはオーストラリア人だけでなく、アジア人もヨーロッパ系の方も様々な骨格の生徒さんが参加します。彼らの文化に「No worries!(心配ないよ)」という言葉があるように、彼らは細かなアライメントをあまり気にしません。フロースタイル、もしくは、ヴィンヤサヨガが人気です。しかし母国語ではない英語で、途切れのないフロークラスを指導するのは、とても難しいのが正直なところです。その代わり、様々な海外講師のヨガ通訳で得たエッセンスを抽出して、怪我を予防する最低限のアライメントポイントを織り交ぜながらクラスをしています。自分ができることに集中するしかありません。日本で指導した時よりも指導が相当シンプルになっていますね。それでもローカルの人にはアライメントをベースにしたヨガに初めて出会えた人も多く、「こんなに細かくポーズを分解して教えてもらったことはない」「Ayaのスタイルはステップごとにポーズをするので安全に感じる」というコメントをよくもらいます。

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―オーストラリアの医療制度について教えてください。

必ずGPという全般的な医者(町医者)が診断して、必要に応じて専門医を紹介してくれます。専門医の予約を直接個人が取ることはできません。

―日本の大学病院等の紹介状に近い考え方ですね。アメリカのカリフォルニア州ではピラティススタジオと併設されている病院が徐々に増えてきているそうですが、オーストラリアではどうでしょうか。

オーストラリアにも、病院の近くにスポーツ施設やマッサージクリニックがあります。医者だけでなく、臨床運動指導士、理学療法士、オステオパシー(整体)、リメディアル・マッサージ、栄養士などの専門家のネットワークを活かして、チーム体制で患者さんを診ています。私が勤務しているマッサージクリニックも、理学療法士と共同で運営をされています。

―‶自然療法大国″のオーストラリアで人気のある「リメディアル・マッサージ」について教えてください。

「人気」ではなく、必要だから日常に根付いているという感じです。先ほどもご紹介しましたが、オーストラリアはラグビー・自転車・マラソン・トライアスロン・サーフィンとアウトドアスポーツが盛んで、プロから一般人まで、スポーツを気軽に、日常的に楽しんでいます。大会や日々のコンディショニングに定期的にマッサージを取り入れている方も多くいます。

―スポーツが、コンディショニングが、ライフスタイルになっているということですね。「リメディアル・マッサージ」は、普通のマッサージと何が違うのですか?

「リメディー」とは英語で治すという意味。特定の手技を指すといいよりも、目の前のクライアントの症状に応じて、スタイルを選びながらマッサージしていく全般的なマッサージを指します。より具体的にいうと、リラクゼーションマッサージ以外の、筋膜リリース、スポーツマッサージ、ディープ・ティシュー・トリガーポイントセラピー、アクティブ・リリース・テクニックなどを大きく括って「リメディアル・マッサージ」と呼ばれています。

―イタクラさんも2年間のリメディアル・マッサージコースを修了されたと伺いました。

はい。ヨガやピラティスをやっていて、運動指導以外の身体のケアにも興味を持っていました。またオーストラリアに住むことを視野に、丸二年かけて国家資格を取得しました。

―住み続けたいほどのオーストラリアの大きな魅力とは?

バランスの良さですね。私が住むシドニーは都市でもあり、10分もあれば大きな公園やビーチがたくさんありますし、自分で動き回れる公共交通(バス、電車)もあります。埼玉県出身の私は、以前は1時間半かけて学校や仕事に通っていましたが、今は移動時間が減り、暮らしやすいです。

 

「〜すべき」という視点から個人に合わせるという視点へ

―世界的にみて日本は健康であると位置づけされていますが、自然療法は程遠いことも現実です。自然療法・補完代替医療の先進国であるオーストラリアにいらっしゃるイタクラさんだからこそ、いまの日本医療に足りないもの、必要なものをどのようにお考えになりますか。

オーストラリアは多文化社会なので、「みんなに一斉に効くこと」を求めていません。西洋医療にしても、自然療法にしても、自分が信じる療法やメンテナンス方法を自ら選んで、実践しています。一方日本は「〜すべき」や「平均値」という視点が強い気がします。個人に合わせるという視点がさらに広がるといいと思います。

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―日本におけるヨガは、まだモデルやタレントのコンディショニングの段階だけれど、シェアを広げるためにどんなことが必要だと思いますか。

日本のヨガは、モデルやタレントさんなど細くてきれいな人がやっているという印象が強いですよね。「いろんな人がヨガを楽しんで良い。きれいな部分以外も存分に見せていく」ことで、ヨガの裾野がさらに広がるのではないでしょうか。例えばですが、体格の大きな人や、シニアの人が自分のできる範囲でやっているヨガをどんどんオープンにしていくのはどうでしょうか。

また、どんな良いことをやっていても社会的インパクトがないと大きな波及効果は生みにくいですよね。私は2013年に、行政(大田区)とタイアップして、定年退職の男性限定のヨガ講座をやらせていただきました。とっても反響がありました。ヨガの先生がもっと自由に発想して、研究機関や行政、メディアとも協働して、美容やダイエットだけじゃないヨガの文化を創り出せたらもっと楽しくなると思います。

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―今後、ヨガを通して、やっていきたいこと、チャレンジしたいことをお聞かせください。

「自分の体を自分で動かして、主体的に元気になっていく自信や喜び」を総合的にシェアしていきたいと思います。

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イタクラ アヤ 
ヨガ・インストラクター(E-RYT500)
ヨガ/ボディワーク通訳

2001年からヨガをはじめ、2006年より指導をはじめる。 2009年より東京・大阪・福岡・オーストラリア・タイ・バリ・ハワイ、上海(6カ国10都市)で、 7社25個の指導者養成コースの通訳やアシスタントに携わる。 現在はオーストラリア・シドニーのHotspot, Yoga Pavilionでレギュラークラスを行っている。

<ウェブサイト>
日本語:こちら
英語:こちら

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