6/25に、日本産業カウンセラー協会神奈川支部の総会で、「脳科学に基づく心理療法」と言うテーマで、講演をしました。
自分で話しながら気づいたことがありました。それは何かと言うと、
「そういえば、扁桃体は2種類の感情を発生させるのだった。これを皆さんに説明すると、うつ、メンタル不調の解決策がわかりやすいかな」と言うことです。
で、その場でもお話ししたのですが、ここでも説明します。
扁桃体が発生させる感情は、2種類の入力ルートによって刺激され発生する、と言うことです。
これは、扁桃体の研究の世界的権威である、神経学者、ジョセフ・ルドゥが、「シナプスが人格を作る」みすず書房、と言う本の中で言っていることです。
たとえば、あなたが山道を歩いていてヘビに遭遇したとします。
すると、ヘビの情報は目から入ってきてその信号は後頭部の視覚野と言う脳の部位に到達すると、初めてそこで「見えた」と認識されます。
視覚野がある部分は、大脳皮質と言うのですが、この大脳皮質とは私たち人間の脳では非常に発達している部位で、解釈を行うところなのです。
つまり、ヘビを見て「このヘビは大丈夫かな」とか、毒あるのかな、など。そして、危ないと解釈されると、その信号が扁桃体に入り、「怖い!」と言う感情を発生させる。
そして、その後、前頭前野部に信号が行き、「逃げろ!」などと意思決定されるということです。
これは大脳皮質を通過して感情が発生したということで、「解釈を通して感情が生まれた」ということです。
この原理を考えると、職場で苦手な上司の関係で、うつ、メンタル不調になった人に対して、よく認知行動療法と言う手法が使われているのは、何をしているのかがわかります。
私たちもかつてはこの手法を使っていました。
つまり、なぜ、その上司が怖いのか、苦手なのか、を分析しているのが認知行動療法ですが、これは、大脳皮質を通過して解釈によって生まれた感情を扱っているということを意味します。
あなたの解釈=認知のゆがみを発見して、あの上司はそういうことを言ったからと言って、必ずしもあなたのことを全否定しているわけではないのですよね、などと、納得させようとするのです。
私もかつては認知行動療法を使っていましたが、うつ、メンタル不調がごく軽い人には一定の効果はあると思います。
でも、上司に対しての怖さが強い人は、そんなこと言われたって、怖いものは怖いので、これではうまくいきませんでした。
で、ジョセフ・ルドゥの本には、感情を発生させる2つめのルートがあることが書かれているのです。これが、うつ、メンタル不調の解決策になります。続きは後編で。
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■私のメンタル本がこのたび重版になりました。
「不安遺伝子を抑えて、心がす~っとラクになる本」 出版社・秀和システム
うつ状態に陥っていた私が復活できたセルフセラピー法をシンプルにして、皆さんでもできるテクニックを解説している本です。関心ある方はどうぞ。
この記事を書いた人
日本メンタル再生研究所所長 山本潤一(脳科学心理セラピスト)
顧問・宗像恒次博士(筑波大学名誉教授)が開発した心理療法で、某上場企業では3年半、初回うつ休職者再発率0%に貢献。「脳科学心理セラピー」により、うつ・メンタル不調者への短期間での改善支援、復職支援、再発防止支援、などのサービスを行う。