はじめに
今回はマインドフルネスと生死というテーマで話を進めていきたいと思います。
私達はみんな死にます。これは紛れもない事実です。普段の生活の中で私達は自分の死についてあまりリアルに捉えていないようです。自分自身も毎日が同じように繰り返される錯覚に陥りがちです。しかし、今の日本ではその意識も少しずつ変わりつつあるのかもしれません。東日本大震災、そして、今年は熊本での大災害で多数の死傷者、住む場所がなくなってしまった人など生きること自体が難しい方がいらっしゃいます。
仏教的には ‘一寸先は闇’次の瞬間には何が起こるかわからない、そういう覚悟で今を生ききりなさいと教えるそうです。
今回は重いテーマですが今、自分自身が感じている事を書いておきたいと思います。
武士道的「死」
私は学生の頃から時代小説ものを読むことが好きで、司馬遼太郎さん、池波正太郎さん、隆慶一郎さんなどをよく読んだものです。今では時代小説をゆっくり読む時間がなくなってしまいましたが…。
以前、隆慶一郎さんの著作の中で『死ぬことと見つけたり』(新潮社文庫)という小説を読んだことがあります。
その中でとても印象的だった部分がありました。朝、目覚めたらすぐに動かずにトラに襲われて食われる自分を想像しイメージの中で一度死んでから朝目覚めて一日の行動を開始するという内容でした。私がこの小説を読んだのはずいぶん昔の事でしたが、今回の生死のテーマを取り上げようと思った時に自然と内側から記憶が呼び起されました。
朝起きる時、死ぬ覚悟をまず心の中にイメージしてから一日を過ごすというのはどういう心境になるのだろう?当時はそんな風に興味本位だけが先立っていましたが…。
しかし、それから時間が経ち、自分自身の中でいろいろな生や死の経験を得て考え直してみると自分自身の死をイメージしてから活動し、いつ死ぬか分からないそういう覚悟を持って今を生ききる。死をイメージし生活することにより今この瞬間をいかに大切に過ごすかという方が生きることが鮮やかになってくるような気がします。
我々の祖先の一形態である武士という人たちの中には自らを律し生ききっていた人たちもいたのだと思います。そして、武士道として昇華して、時代とともにその役割を終えていったのでしょう。そして、そのエッセンスは現代の私達の中にも本来は存在しているものなのかもしれません。
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