あなたには、自分の中には自分ではない人格が存在している、という感覚がありますか?
うつやメンタル不調の方、または不安が強い方の中には、こういった感覚を感じている人が多くいます。
そして、こういう感覚を持つ多くの方々は、今まで色々なことをやってきてどうやっても解決できずに悩んでいます。
こういう方々が私のところにはたくさん来ます。そして、私が実践している心理療法は実はこういう方々にとても相性が良いのです。ほぼ、解決します。ほぼ、と書いたのは、脳に明らかな障害がある場合は別だ、と言う意味です。
脳に障害がないのであれば、それはストレスの問題ですから解決可能です。
なぜ、そういえるかと言うと、実は私が行っている心理療法は、身体感覚が情動の発電装置である脳内の「扁桃体(へんとうたい)」を刺激して、ネガティブ感情を発生させていると考えていますが、身体感覚を作り出すものは、私たちの体の中にある「他人」だと考えているからです。
他人? どういうことでしょうか。
実は、私たちの体は私もそうですが、あなたも、いや誰もが「他人の細胞」を持っているのです。これは生物学的事実です。
たとえばアメリカで183人の女性の遺体の脳を解剖した研究がありますが、それによると63%の女性の脳から男性細胞が見つかっているのです。
出典・Chan WFN, Gurnot C, Montine TJ, Sonnen JA, et al. (2012) Male Microchimerism in the Human Female Brain. PLoS ONE 7(9): e45592. doi: 10.1371/journal.pone.0045592
これって「他人」ですよね。こういう研究は2000年以降、いろいろなところで行われているのです。
また、こういう研究をしているアメリカ人研究者に、アン・スティーブンスと言う方がいますが、この方が日本で講演を行った時、私は聞いていましたが、彼女はこう言っていました。
「私たちの研究では、未婚で妊娠経験のない女性の体内から男性細胞を見つけている」
どうですか? 独身女性の方はびっくりしませんか? あなたの体の中には、男性がいるのですよ。これって自分じゃないでしょう。
もちろん別の研究で、男性の体から女性の遺伝子をもつ細胞も見つかっています。
どこから入ってくるのかはたくさんの経路があって、ここでは詳しくは説明しませんが、とにかく想像以上にたくさんの「他人」が私たちの体の中には存在しているということです。
そしてこれが、複雑な身体感覚を作っているのです。続きは後編で。
この記事を書いた人
日本メンタル再生研究所所長 山本潤一(脳科学心理セラピスト)
顧問・宗像恒次博士(筑波大学名誉教授)が開発した心理療法で、某上場企業では3年半、初回うつ休職者再発率0%に貢献。「脳科学心理セラピー」により、うつ・メンタル不調者への短期間での改善支援、復職支援、再発防止支援、などのサービスを行う。