最近、「愛着障害」に関する本を読みました。
この頃、私のセラピーを受けにくる人の中には、こうした心理学用語に詳しい人が多いので、こちら側としても、いろいろ勉強が必要なのです。
で、愛着とはそもそも、幼児期に親との間で形成される愛情の絆のようなものですが、これが幼児期に親密な親子関係がきちんと形成されないと、この本では大人になっても人と健全な関係を結ぶのが苦手になるなどのことが引き起こされる、と書かれています。
また、もともとは特殊で悲惨な家庭環境で育った子供の問題として取り扱われることが多かったと書かれていて、でも、近年は一般の子供に当てはまるだけでなく、大人にも広くみられるようになったと書かれています。
たとえば、人間関係などで、不安が強いことにより人と距離を求めるタイプとか、逆に「愛されたい」「認められたい」が強すぎ相手とべったりになるタイプとか、より細かく言うと、過度に従順になりやすいとか、信頼や愛情が維持されにくいとか、人とほどよい距離が取れないとか、傷つきやすくネガティブな反応を起こしやすいとか、過去の経験に操られやすいとか、意地っ張りでこだわりやすい、とか、こういった症状を持つ人は愛着障害の一例だということが書かれています。
結論としては、「親との関係を解決していく事がもっとも望ましい」と、この本では書かれています。
これは確かに一理ありますね。親子関係を解決する事で、自分自身の対人関係の不安定さを解決できる人は、良いのではないかと思います。アダルトチルドレンと似たような言葉かもしれません。
あなたには、もし愛着障害があるとして、親子の関係解決だけで解決できましたか?
もし、できなかったとしたら、もう少し違うアプローチをすることをお勧めします。
なぜなら、私たちの感受性はこちらのセラピー理論で行くと、かならずしも生まれた後の親子関係で作られるわけではないからです。
私たちの感受性を決めている「情動の発電装置である脳内の扁桃体」は、0歳から形成されるため、親子関係が始まる前から形成されるからなのですね。
つまり胎内期から、扁桃体感受性は作られるということ。胎内環境が悪かった人は、だいたい扁桃体の感受性が敏感なのです。つまり不安になり安いということです。
ちなみに私は重度の妊娠中毒症で生まれていますが、後年ものすごく対人関係で不安になりやすいだったのです。愛着障害ですね。
で、もっと言うと胎内環境だけが胎児の扁桃体の感受性を作るのではないのです。
その話をすると、非常に複雑になるので、ここでは詳しくは説明しません。ザックリ言っておくと、私たちの体は実は「他人の細胞がたくさん融合した状態で作られており、このことが人によっては敏感な身体感覚を作り、これにより敏感な扁桃体感受性は作られる」のです。
私たちの体には、胎児の時代から「他人の細胞がたくさん存在している状態」なのです。
これが、敏感な扁桃体感受性を作り、愛着障害を自ら生み出してしまう、感受性を作り出してしまう、ということです。
この説明は、この文章だけを読んだだけではたぶんあまりピンとこないかもしれません。
しかし私たちの体の中に、他人の細胞がたくさん存在するということは、生物学的な事実なのです。
こういう研究をしている科学者はたくさんいるのです。
続きは後編で。
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■6/25(日)13時~。日本産業カウンセラー協会神奈川支部での総会で、私、山本潤一が講演することになりました。テーマ→「脳科学心理療法のご紹介」 申し込みHPができ次第、改めてご案内します。
■11/28発売のビジネス誌「プレジデント」にP34に私が取材され、掲載されました。
ご興味あったらご覧ください。
■このたび9/14に私のメンタル本が出版されました。
「不安遺伝子を抑えて、心がす~っとラクになる本」 出版社・秀和システム
うつ状態に陥っていた私が復活できたセルフセラピー法をシンプルにして、皆さんでもできるテクニックを解説している本です。関心ある方はどうぞ。
この記事を書いた人
日本メンタル再生研究所所長 山本潤一(脳科学心理セラピスト)
顧問・宗像恒次博士(筑波大学名誉教授)が開発した心理療法で、某上場企業では3年半、初回うつ休職者再発率0%に貢献。「脳科学心理セラピー」により、うつ・メンタル不調者への短期間での改善支援、復職支援、再発防止支援、などのサービスを行う。