先日、スポーツ誌を見ていたらプロゴルファーの宮里藍さんが「引退」、と書かれていて思わず記事をじっくり読んでしまいました。
引退の理由はモティベーションの低下だそうですが、詳しく見ていたら気になるコメントが載っていました。それは、
「パットがイップスみたいになってしまった」
というものです。
イップスとは、体が思ったように動かなくなることで、野球選手だったらピッチャーがキャッチャーめがけて球を投げようとして、ボールを自分の意志に反して、突然、地面にたたきつけたりして、思ったように腕が動かなくなる「運動障害」のことです。
実は、私のところには以前から時々、プロスポーツ選手がやってきていたので、このことは良く知っていました。かなり著名な一流選手もやってきています。
甲子園に出場した、あるアマチュアの野球監督経験者の方は、「高校野球では、イップスなんてそこらじゅうに発生していますよ」と言っていました。
内野手がファーストに球を投げようとして、まったく違った方向に球を投げてしまったりするそうです。
これじゃ、困ってしまいますよね。
原因は、一言でいうと「過緊張」です。そして、過緊張と言うのは非常に強い不安、恐怖感情に支配されているという事ですから、間違いなく、脳内の感情の発電装置である、扁桃体が非常に敏感で過敏であることが原因と思います。
そう断言できるのはなぜかと言うと、プロスポーツ選手をはじめとするスポーツ選手がやってきたときに、まずは、独自の診断テストを行うのですが、その診断テストでは、もれなく非常に「周りの顔色」を気にする、敏感な感受性を持っている方々であることがわかっているからです。
うつ、メンタル不調、生きにくさを抱えている人に、時々、運動に関する質問をしますが、そうすると、スポーツをやっている人では、ほぼ全員が本番の試合中になると、思ったように体が動かなくなる症状を持っています。
うつ、メンタル不調、とイップスは、ともに扁桃体が過剰に敏感であることから引き起こされているのです。
もちろんスポーツをやる人は、うつではないので動けているわけですが、私の過去のデータを見ると、診断テスト上は、イップスの方々はうつ、メンタル不調の方々と非常によく似た診断結果が出ている方々なのです。
ストレス科学の視点で言うと、ストレスは、精神サインか、行動サインか、身体サインのどれか、または複数に出ますので、こういう視点で見るとイップスの原因はごく普通の、扁桃体過剰に興奮症、だということがわかります。
扁桃体は、周囲の顔表情、また、声、音などに敏感に反応します。ゴルファーや野球選手は、大勢の観客に囲まれていますよね。
非常にそういう影響を受けるのです。
続きは後編で。
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うつ状態に陥っていた私が復活できたセルフセラピー法をシンプルにして、皆さんでもできるテクニックを解説している本です。関心ある方はどうぞ。
この記事を書いた人
日本メンタル再生研究所所長 山本潤一(脳科学心理セラピスト)
顧問・宗像恒次博士(筑波大学名誉教授)が開発した心理療法で、某上場企業では3年半、初回うつ休職者再発率0%に貢献。「脳科学心理セラピー」により、うつ・メンタル不調者への短期間での改善支援、復職支援、再発防止支援、などのサービスを行う。