現在、薬を使っている人は、ノルアドレナリン(不安緊張物質)、ドーパミン(快感物質)、セロトニン(情緒安定物質)、というような神経伝達物質のことはお聞きになったことがあるでしょう。
薬はこれらの脳内物質を、人工的に調節することでネガティブすぎる感情を安定させようとしています。
私の先生であり、ストレス科学者である筑波大学名誉教授・宗像恒次先生の研究では、「悪い予期」をすると、不安緊張物質であるノルアドレナリンが脳内に高分泌になり、「良い予期」ができると、快感物質であるドーパミンが脳内に分泌されるのです。
セロトニンは、この2つの物質を調整する役割があります。
うつやメンタル不調になりやすい人は、何事につけても「悪い予期」をしやすいのです。
また周りから変な奴と思われているのではないか、使えないやつと思われるのではないか、見捨てられているのではないか、いなくなればよいのにと思われているのではないか、等々。
あなたは、こういったことはありませんか?
たぶんあるはずです。脳科学的言うと、情動の発電装置である扁桃体が敏感であればあるほど、周りの表情や声などに敏感に反応するようになるため、どうしても周りの顔色を気にするパーソナリティになり、将来に対して悲観的で、悪い予期をしやすいパーソナリティになるのです。
だから常に、脳内はノルアドレナリンが高分泌なので、不安緊張が強くなり夜な眠れなくなったり、将来に対してあれこれ悪いことばかり心配するようになるのです。
一方、ドーパミンは良い予期ができると出てきます。たとえば、今日、アフターファイブに好きな人と、おいしいものを食べに行こうと言う約束をしていたとすると、その日一日が楽しくなるでしょう?
これがドーパミンの作用です。
だったらいつも、将来に事に対して「良い予期」ができる自分になればよいのです。明日は楽しいことがありそうだな、またいいことがありそうだな、と思える自分です。どうしたらなれると思いますか?
「あるがままの自分を人前で出すことに恐れを感じない自分」になれればよいのです。
こうなれると、どうなると思いますか?
将来に対して、まあいいや、なんとかなるよ、と楽観的になれるのです。なぜなら、あるがままの自分でいることに、不安がないからです。
だから職場に行っても、まあなんとかなるさと思えるし、復職したとしても、周りは何か言うかもしれないけれど、まあいいか、と思えるし、以前メンタルダウンした時と同じような状況がやってきても、なんとかなるよ、と思えるわけです。
こういうのが、良い予期を持てる自分なのです。
続きは後編で。
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■11/28発売のビジネス誌「プレジデント」にP34に私が取材され、掲載されました。
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この記事を書いた人
日本メンタル再生研究所所長 山本潤一(脳科学心理セラピスト)
顧問・宗像恒次博士(筑波大学名誉教授)が開発した心理療法で、某上場企業では3年半、初回うつ休職者再発率0%に貢献。「脳科学心理セラピー」により、うつ・メンタル不調者への短期間での改善支援、復職支援、再発防止支援、などのサービスを行う。