このコラムでは、扁桃体興奮を止めることで、うつやメンタルヘルス不調を解決する、という脳科学メンタルセラピーをご紹介しています。
しかし誤解のないよう書いておきたいことがあります。このセラピーを受けて、扁桃体興奮を鎮めることが最終的なゴールではない、ということです。
私がお伝えしたいことの本当のゴールは、
「ありのままの自分を表現する生き方・働き方をすることが、うつやメンタル不調の再発を止めるだけでなく、幸せな生き方・働き方を実現することにつながっていく」ということです。
ありのままの自分を表現することこそが、最終的なうつやメンタルヘルス不調再発を止めるゴールなのです。
しかし、私自身ももともと対人恐怖症だったからわかりますが、現在、うつやメンタルヘルス不調で悩んでおられる方は、多分こう思うと思います。
「人前で、自分のことをそんなに簡単に言えないからこそ、うつやメンタルヘルス不調になったのだ」と。
そうです。その通りなのです。うつやメンタルヘルス不調になる方というのは、自分の本音の感情を言えない度合いや、他人に「察しを求める」心理的傾向が、非常に強いのです。
他人に察しを求める、とは、自分の本音の気持ち感情を「読んでくれる」ことを期待する心理的傾向の強さのことです。
相手に自分の心を「察して」もらえるように自己表現したり、行動したりする傾向が強いと、ようは相手に気に入られるようにふるまったり、相手を思い通りにコントロールしようとするエネルギーが強すぎて、思い通りにならないストレスから、自分自身の心のバランスを崩すのです。
ではなぜ、本音の気持ち感情が言えないとか、相手の思い通りにしたいと強烈に思ったり、察してほしいと強く願ったりするのでしょうか。つまり、あるがままの自分で素直に表現できなくなるのか、ということです。
それは扁桃体が慢性的に興奮し続けるからです。
扁桃体が慢性的に興奮し続けると、前頭前野部の血流量が低下しますが、意思決定の場である前頭前野の血流量が低下すると、自分自身の素直な意思に基づいた意思決定ができなくなるからです。
扁桃体には相手の顔表情に反応し発電する細胞がありますが、つまり相手の顔色に支配される、ということです。
うつやメンタルヘルス不調に陥る方は、これが非常に敏感で、あるがままの自分でいられなくなっている、ということなのです。続きは後編で。
この記事を書いた人
日本メンタル再生研究所所長 山本潤一(脳科学心理セラピスト)
顧問・宗像恒次博士(筑波大学名誉教授)が開発した心理療法で、某上場企業では3年半、初回うつ休職者再発率0%に貢献。「脳科学心理セラピー」により、うつ・メンタル不調者への短期間での改善支援、復職支援、再発防止支援、などのサービスを行う。