一言でヨガといっても、瞑想したり、お祈りしたり、いろんなタイプのものがありますが、ここでは、ポーズをとるヨガ(ハタヨガ)についてお伝えします。特に、ヨガのポーズを取っているときの感覚とどう向き合うと良いのか、その方法をマインドフルネス講師・ヨガ講師として、詳しくお伝えします。
もし、あなたがヨガやピラティスを実践しているのなら、今回お伝えする内容を学ぶことによって、より安全に、より効果的にポーズを深めることができるようになるでしょう。
ヨガは精神鍛錬法~他のスポーツと違う点とは?~
基本的に、ヨガスタジオには鏡がありません。それは、ヨガが、競ったり人に見せるたりすることではなく、自分の内側を「感じる」ことを大切にしているからです。
ヨガは、もともと東洋の精神鍛錬法ですので、身体を鍛えるためだけのものではなく、メンタル面のトレーニングの要素も含まれます。ヨガのポーズの実践を継続することで、身体面(フィジカル)と精神面(メンタル)、二つの側面が鍛えられていきます。
●身体面(フィジカル):より安定した快適な姿勢をとったり、体幹を鍛え、蓄積した体のこわばりを解消していきます。
●精神面(メンタル):瞬間瞬間に注意を向けた内面への集中、また内側の感覚に対して開く(ジャッジしない)ことを実践していきます。
ヨガは体を鍛えると同時に、より軟性で、強い心を養う精神鍛錬法としての側面があります。ここが、ヨガが他のスポーツと違うところです。
「身体面」「精神面」二種類の誘導
私はヨガ講師でもあるので、ここからはクラスを誘導する側の視点からお伝えします。ヨガクラスの誘導は大きく分けて2種類あります。それは身体面(フィジカル)と精神面(メンタル)の誘導です。
●身体面(フィジカル)の誘導:
ポーズの正しい位置(アライメント)を指導します。より安定して、快適にポーズがとれるように、痛めないような体のポジションについてです。
●精神面(メンタル)の誘導:
ヨガのポーズ中の身体感覚の向き合い方についてです。その内容は、これまでにお伝えしたマインドフルネスの考え方がベースにあります。
・ 今この瞬間に注意を向ける
・ 内側で起こっていることに気づく
・ ジャッジしない(快、不快などの評価・判断をしない。)
・ ありのまま観察する(あるがままに受けいれる)
などです。より具体的にいうと、
「自分と他人と比較しない」とか、
「今、どんな呼吸していますか?何を感じていますか?」
「今、内側で起こっている感覚を、快・不快と分けず、ありのまま感じてあげましょう。」
といった感じです。
メンタル面の誘導は、とくに辛いポーズの時などに有効です。人は辛い時、呼吸を止めて、体表の筋肉に力をいれてポーズをとろうとしがちです。そんな時でも、体の不快な感覚に対して、心理的な抵抗を手放し、おおらかに、優しい気持ちで接していくと、フッ〜と力が抜けてポーズが深まることがあります。
また、このような精神面(メンタル)の誘導を入れることで、「内面への集中(今、ここ)」と「感覚に対して開いた状態(ジャッジしない)」を引き出し、受講生の気づき(アウェアネス)を高めることができます。
続きは後編で。
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