自律神経が乱れた人におすすめの食べ物、それはトマトです。
トマトには自律神経の乱れを整えるのに役立つ成分が多いとわかってきているのです。
どのような成分にそうした働きが期待できるのか、どう食べると効率的か、実践女子大学名誉教授の田島眞先生に話をお聞きしました。
なお、この記事の一番下にトマトを使ったレシピもありますので、試してみてはいかがでしょうか。
自律神経の乱れを整える注目成分はギャバ(GABA)
早速ですが、トマトには健康維持に役立つ成分がたくさん含まれています。ご存じの人も多いかと思いますが、簡単にご説明しましょう。
●ビタミンC
●ビタミンB群
●カロテン(体内でビタミンAに変わる)
→これらのビタミン類は免疫力(病気から体を守る力)の向上や、細胞の老化抑制に不可欠とされ、トマトはそれらの含有量が野菜の中でもトップクラスです。
●カリウム
→カリウムには血圧の降下作用があるとされます。1日の摂取目安量が男性で2500ミリグラム、 女性で2000ミリグラムです。
中玉のトマト1個(約200グラム)に400~500ミリグラムのカリウムが含まれているので、摂取基準の約6分の1〜4分の1の量を補えます。
●ケルセチン
→ケルセチンはトマトの皮に多い色素成分。血管や肌の柔軟性を高める働きが認められています。
●ペクチン
→食物繊維の一種で、悪玉コレステロールを減らすのに役立ちます。
●ピラジン
→トマトの香り成分で、脳や心筋梗塞の原因になる血栓(血液の塊)を生じにくくする働きがあります。
●リコピン
→トマト特有の赤い色素成分であるリコピンは、生活習慣病や老化の原因になる活性酸素(体内に生じる攻撃力の強い酸素)を除去する抗酸化作用が強く、βカロテンの2倍以上、ビタミンEの100倍以上の抗酸化作用があるといわれています。
そして、こうした成分のほかに、トマトに含まれる成分で最近特に注目されているのがアミノ酸(たんぱく質の構成成分)の一種であるギャバ(GABA、正式名はγ-アミノ酪酸)です。
ギャバは、私たちの脳や脊髄にも含まれており、脳のさまざまな機能を調整する神経伝達物質として働きます。
ところが、脳内に含まれているギャバの量は40代から急激に減りはじめ、10代のころに比べると含有量は半分以下になると考えられています。
ギャバが不足すると、自律神経(意志とは無関係に血管や内臓の働きを支配する神経)のうち、心身を緊張状態に導く交感神経が優位になります。
すると、イライラしてストレスを感じやすくなり、その状態が続けば不眠やウツ、高血圧、自律神経失調症、それに認知症を発症するリスクを高める場合もあるのです。
トマトなら中玉1個で1日分のギャバが補える
そこで、ふだんからギャバの多い食品を積極的にとってください。
ギャバを含む主な食品には、発芽玄米・緑茶・緑黄色野菜・果物・発酵食品(納豆・みそ・ぬか漬け)などがありますが、必要量のギャバを毎日とるならトマトがおすすめです。
これまで世界各国で行われた研究によれば、健康維持のためにギャバをとる場合、1日に必要な摂取量は10~20ミリグラムです。
高血圧や慢性疲労といった不調の改善を期待するなら、50ミリグラム以上の摂取が望ましいと考えられます。
中玉のトマト1個には40~60ミリグラムのギャバが含まれています。つまり、1個とれば1日分が補えると考えられます。
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