森と共に生きる
前回は、クナイプ療法発祥の地でその療法についてご紹介しました。今回はその5つの柱の中の運動療法と植物療法に関わる「森」についてお話します。実は、クナイプ療法は、日本における森林療法のモデルの一つにもなっているのです。
10年以上ドイツに住んでいる方にお話を聞くと、天気が悪かろうが寒かろうが、とにかく森や緑の中を散歩したりハイキングに出かけたりする時間が長いそうです。それも家族(犬も含めて!)と日常的に行われるとのこと。シュタイナーやモンテッソーリの教育では森の幼稚園といって、子どもの頃から森を通して様々なことを学ぶスタイルも定着しています。子どもから大人まで、森と共に生きるライフスタイルがごく自然に存在するのですね。
森を五感で感じてみる
私が行ったのは、クナイプの町の2/3ほどを占めるのクアパークという公園です(ドイツ語でクアkurとは治療・療養という意味)。
すっかり秋になったドイツでは、森は見事に紅葉していました。
訪れる前に調べた文献によると、「クナイプ神父もしていたように、朝露に濡れた草の上を裸足で歩く」とありましたが、あいにくの雨。
でも、水分をたっぷり含んだ落ち葉はふかふかの絨毯のようで、一歩一歩靴を伝わる感触もまた新鮮です。しかも紅葉で見事なグラデーション。何か特別に用意されたオレンジ色の舞台へ吸い込まれていくような、、、、、、。朝の森は少し怖いくらいの不思議な感覚でもありました。
人のDNAには太古の森の記憶が刻まれているといいます。森と言えばフィトンチッドですが、鳥のさえずりや川のせせらぎなど生体と共鳴するゆらぎや、人には聴き取れない高周波も含めて、目には見えないけれど人と調和する何かがたくさん存在します。
殺伐としがちな日常の中に、森を取り入れることは、人が人としてバランスを取り戻すためにとても大事なことなのだと、森の国で改めて思いました。
日本はこれからまさに紅葉シーズンですね。
身近な公園でもいいでしょう。小さな森を見つけたら、
地面から伝わる土や草の感触
鳥のさえずりや小川や噴水など小さな音
光を通した葉っぱの色
など、五感を開いて感じてみてください。そのひと時が贅沢な日常の休息です。
この記事を書いた人
Emi(音楽ハーブセラピスト)
+TONE(プラストーン)主宰。音楽・植物療法を用いた「五感を開いたストレスケア」を世に広めるべく活動中。企業マーケティング、ワークショップ、執筆を始め、尾山台サロンでは音楽セラピーや音楽カウンセラー講座を行っています。
https://www.facebook.com/plustone.jp