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同質の原理

音楽療法の原則に「同質の原理」があります。聴く人のこころのレベルと音楽の質を合わせるということ。なんだか気分が滅入る、落ち込む、どんよりしている・・・といった時には、いきなり元気のいい曲を聴くのではなく、ゆったりした、リズムやメロディの激しくない、曲調も少し暗めの曲を聴いて、まずは今のこころに寄り添います。音楽に共感してもらう感じです。そしてこころの状態に合わせて、徐々に明るさやテンポを上げていきます。
また、いつも聴いている音楽がうるさく感じたり、速く感じたり少し不快に思うときがあるかもしれません。そんなときは、心が少し疲れている時でもあるのです。

切ないけれど、光がさすような音楽

最近、何人かの方と実際に曲を聴いて、ちょっとした日常の落ち込みになかなか良いと好評だったのは、ラヴェル(フランスの作曲家)の「亡き王女のパヴァーヌ」。暗さの中にも明るさが感じられる、聴いていて「あ~救われる」と思える、「これでいいんだよ」と寄り添ってくれるといった感想が挙がりました。
CMにも使われたので聴いたことがあるかもしれません。幻想的で切ないメロディですが、決して暗いわけではなく、聴き終わるとほんの少し希望がもてる感じがします。
落ち込んだ原因を考えるループにはまるのを止めるためにも、ただ広い空や移ろいゆく雲の色などをボーっと見ながら(もしくはイメージしながら)聴くといいですね。

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柑橘の香りプラスαのベルガモット

日常の落ち込みには、情動を司る脳へ直接働きかける香りも助けになるでしょう。
寄り添い系のポピュラーアロマにベルガモットがあります。オレンジと同じ柑橘系で万人に好まれる傾向がありますが、実はラベンダーと同じ成分も多く含まれているため「鎮静」作用にも優れるのが特長です。嗅ぐと、ゆったりと気持ちが落ち着いてきて、時間が経つとじ~んわり気持ちが明るくなる、そんな感じです。緊張や不安、落ち込みなどからくる不眠にも用いられます。
嗅覚はすぐに慣れてしまうので、音楽と香りを使うときには、まずゆっくり音楽を聴いて、2回目に香りをプラスしてみると、より相乗効果を実感しやすいでしょう。
あれ?ちょっといつもと違う・・・と思ったらご自分のこころと向き合ってみて同質の原理でケアしてみてください。

亡き王女のためのパヴァーヌ Ravel

この記事を書いた人

殿村江美

ハーバルセラピスト、ヒーリング音楽カウンセラー、+TONE(プラストーン)主宰。音楽・植物療法を用いた「五感を開いたストレスケア」を世に広めるべく活動中。企業マーケティング、ワークショップ、執筆を始め、尾山台サロンでは音楽セラピーや音楽カウンセラー講座を行っています。

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