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中高年が悩む難治性腰痛の原因として、腰部脊柱管狭窄症という病名が近年一般にも広く信用してきました。そのせいか、首の痛みや頑固な肩こり、手のしびれを訴える患者さんが「頸部(けいぶ)脊柱管狭窄症」と診断される例が増えてきたようです。
みなさんの中にも、すでに医師から頸部脊柱管狭窄症と診断された人が少なくないでしょう。ここではその頸部脊柱管狭窄症について解説します。

首の脊柱管狭窄症は、脊髄と神経根の圧迫が原因

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では、どのような病態を頸部脊柱管狭窄症と呼んでいるのでしょうか。
狭い意味では、頸椎症(変形性頚椎症)の中でも、頸椎症性脊髄症頚椎症性神経根症を頸部脊柱管狭窄症と呼ぶ場合が多いようです。これらは、頸椎の加齢性変化によって、椎骨にトゲ(骨棘という)が生じたり、椎間板がつぶれたり、靭帯(骨と骨をつなぐ丈夫な線維組織)が肥厚したりすることで神経が圧迫されてしまう病気です。
脊髄が圧迫されれば「頚椎症性脊髄症」、脊髄から左右に枝分かれする神経根が圧迫されれば「頚椎症性神経根症」となります。神経根症の場合には、保存療法(手術以外の治療法)によって改善が期待できますが、脊髄症になると多くは手術が必要になります。
また、広い意味では、頸部椎間板ヘルニアや頸椎の弯曲異常(ストレートネックなど頸椎の前弯が失われた状態)も含めて、脊柱管がせまくなれば頸部脊柱管狭窄症と診断するとらえ方もあります。

女性に多発する首の脊柱管狭窄症

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頸部脊柱管狭窄症には、まだ疫学研究の報告がほとんどありません。ただ、日常の診断経験から、30代より増えはじめ40~50代がピークと考えられます。もちろん60代、70代、80代の患者さんもたくさんいます。
腰部に比べて発症年齢が若いのは、もともと頸部は脊柱管が狭くてデリケートなため、少しの加齢性変化で症状が顕在化しやすいからと考えられます。そのため、男性より女性のほうが、肩こりなどが多く頸部脊柱管狭窄症を招きやすいと考えられます。
また、肉親に頸椎症などの病歴がある人は、生まれつき首の脊柱管が狭い可能性があるので、要注意でしょう。

首の外傷や日常の姿勢による原因で脊柱管が狭窄されることもある

しかし、なんといっても問題なのは、首の外傷悪い姿勢でしょう。交通事故によるむち打ちや柔道やレスリングの技、サッカーのヘディングなどで、軽度でも首の外傷を負えば、椎間板や靭帯が変性し首の脊柱管が狭窄しやすくなります。
さらにデスクワークや車の運転、パソコン、ゲーム、携帯電話の操作を続けて、前かがみのネコ背姿勢がクセになっていると、ストレートネックを招いてしまいます。すると、頸椎の椎骨や椎間板、靭帯や筋肉に過度の負担がかかり、脊柱管が狭まります。まずは、日常的なネコ背を改めることが先決でしょう。
そのほか、女性ではハイヒールや重いネックレス、更年期障害によるホルモン異常やストレスも肩こりからくる弯曲異常につながります。片側の腰に常時ぶらさげている警察官や美容師には、頸部脊柱管狭窄症と診断される人が多いのも特徴です。

著者:清水伸一

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